【浅い話も深く飾れ。】*第1話*文字とトイレ*
世の中は文字にあふれている。
「開封後はお早めにお召し上がりください」
「生ビール込み飲み放題120分1500円」
「インスタグラムはじめました」
人は一日にどのくらいの量の文字を見るのか。
数えるとおそらく果てしない量になるだろう。
それくらい、日々、人は、文字から莫大な情報を得、文字に囲まれて生活している。
「読書量が減った」と叫ばれる時代だが、
現代に生きる我々は、ネット、さらには
莫大な量の文字を目にし、数多の文章に接している。
それを踏まえ、今回私が主張したいのは、
「文字・文章の排便時におけるリラックス効果」
である。
先に我々は文字に囲まれて生活している、と述べたが、そんななか、例外がある。
「トイレの個室(特にお店)」である。
トイレの個室に文字はない。
あるとすれば、
「トイレットペーパー以外は流さないでください」
といった注意書きや、
「いつもきれいにご使用いただきありがとうございます」
といった人間の良心を揺さぶる系の超間接的な注意書きのみである。
私は、どうも昔からお店のトイレが落ち着かないのだが、
最近これはおそらくトイレにおける「文字の無さ」が大きく影響しているのではないかと考えた。
というのも、我々は普段文字に囲まれているせいで意識していないが、
いざまわりから文字が消えるとそこではじめて何か孤独の世界に放り出されたような、
不安、孤独感を感じ、落ち着かなくなるのではないだろうか。
トイレに漫画を持って入る人、
トイレでスマホをいじる人、
トイレに貼る相田みつをカレンダーが売れ続けること、
これらはすべてこの理由からだと考える。
よく通っている銭湯のトイレが落ち着くのは、
トイレの壁に、ほのぼのしたエッセイが貼られてあることが
一つの大きな要因であると僕は確信している。
しかも人間は排便時に、副交感神経を働かせる必要があるから、
「トイレの個室」では、普段よりも“リラックス”に関して
より敏感に、より繊細になるはずであり、
トイレの中での文字・文章(エッセイなどほのぼのしたものが好ましい)による
リラックス効果を顕著に感じられるのである。
*今日も深く、飾らせていただきました。
【浅い話も深く飾れ。】では、23歳会社員(男)が日々の生活の中で感じたどうでもいいことを、
盛りに盛って誇張しまくって仰々しく綴ります。暇な人だけ見てください。トイレの個室で見てくだ
さい。